星屑の降る夜には鮮血が迸り月光神が命を吹く

星屑の降る夜には月がとても綺麗。
星屑は何処までも碧く、果て無き蒼の永遠が荒野を生き抜く白虎のごとく、強く、荒く、息づいている。

月は生臭く淀んだ鮮血を含み崇拝され、鈍く、そして力無く、光の粒を夜空に垂れ流す。
この世界でどれだけ月に捧げる屍を生みだしたことであろうか。
太陽神と月光神の乱れ合い混じる様はとても無様で醜く、醜いが故の美が零れている。
それはまるで人の喜劇的な人生を水面に映し出したかのようだ。

水面に広がる波紋は風に触れ、吐息に触れ、
愛という欺瞞と共に蒼の中へと吸い込まれていく。
溶け合い、溶け合い、乱れ狂い、いつしか新たな物質を形成する。
それは、いつもそこにあるのが当然のように気配を殺し息をしている。

余りにも静かな息は時として人間の思考を鈍らせ痛みを忘れさせてくれる。
だけれども、溶け合い、乱れ狂った物質は己の足元へ胞子を落とし根を下ろす。

笑う、泣く、叫ぶ、生きる。其々の生きるを演じている間に、闇の空間は口を空けどす黒く嘲笑しているのだ。

故に、根を下ろした胞子を眺めながら他人を嘲笑う。
誰かが己の胞子を眺め嘲笑う。

もっともな義という名の剣(つるぎ)を振りかざす。
必然の空間が満ち溢れ、何れ星屑は胞子によって、破壊し、崩壊し、玉砕する。

太陽神と月光神は合い乱れ醜汚なくては、真の義は生まれない。
誰かに根を下ろす胞子が無くては己は生きてゆけない。


哀れに踊る喜劇の人は、
幕が閉まることを永久に忘れたかのように――、
高笑いをしたまま泣き叫びのた打ち回る。

我が身の腐敗を踏み続けているとも知らずに。

• まじないの秘法倫理(コメントの書き込みは受け付けません)
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• 2008/09/24 Wed.